「ねえ、猫鬼とか言ってたけど・・・そういうのって、具体的に姿に表れたりしないの?」
侑魔君の部屋にて、適当に借りた本を読みながら問いかける。
因みに最近の私達の休日の過ごし方は、ほぼこんな感じ。
侑魔君の家に来てうだーっと喋ったり、本読んだり好きな事をしている。
何と言うか・・・猫鬼の事を知ってしまった所為か、そばにいないと落ち着かない。
今、私はソファで寝転がりながら本を読み、侑魔君はそのソファにもたれかかって床に座っている状態。
「・・・っていうと?」
訝しげな表情で私を見つめてくる侑魔君に、取り敢えずニッコリ笑ってみる。
実は、この前思いついてから提案するのが楽しみだったことがある。
それは――・・・。
「つまり、侑魔君に猫耳が生えたりとか・・・そういう遥かなる時空の狭間みたいな展開にはならないの?」
因みに遥かなる時空の狭間、とは・・・私が最近はまっている恋シュミです。
コレがまたキャラ格好良いんだよねー・・・。
「・・・・・・一応、出来ない事はないけど。力全開にする時そうなるな。・・・それがどうかしたか?」
出来るんですか。
マジッスか。
「あの、見せて欲しいんだけど・・・駄目?」
内心で上がり続けてるテンションをどうにか表に出さないように頑張って振舞いつつ、私は侑魔君に首を傾げる。
「・・・・・・見ても面白いものじゃないと思うが」
「面白いかどうかはさておき、素敵だと思うんだ!!」
そりゃあもう。
っていうか猫耳!!猫耳!!!
NE☆KO☆MI☆MI!!!Hu―――!!!
「・・・・・・・・・・・、別に、良いけど」
「本当!?」
私からやや不穏な気配を感じてしまったのか、侑魔君のテンションはやや低い。
というかぶっちゃけ、若干引かれているような気がしてならない。
でも大丈夫。
今の私はそんな事気にならない位にハイだから!!!
再度問いかけた私に小さく頷いて溜息を吐きながら、侑魔君は軽く目を閉じた。
「ん。・・・・・・・・・解放」
呟いた瞬間。
侑魔君の体が淡く光る。
数瞬して、目を開けるとそこには――・・・
「わぁ・・・」
しっかり猫耳生やして若干ブスーッとしてる侑魔君が居た。
うわあ。
何コレ。
何て恋シュm(ry
っていうかコレ何!!キュンキュンする!!
コレが恋なのか!!そうなのか!!!
「こんな感じに――、おい白亜?」
「ごめん耳触らせて!」
訝しげな顔をしていた侑魔君の耳が動いたのを見て、居ても立っても居られなくなった私は、侑魔君が何を言う前に掴みかかる(というに近かった)
うおおおおお、ふにふに!!
本当に猫耳だぁああ!!!
ふにふにふにふにふに!!
「は!?いった!!!おまっ、耳あんま力強く引っ張るな!痛い!」
「うわああ・・・本物だあ・・・。可愛い・・・」
「痛いからせめて力緩めろって!!つうか可愛いって何だよ!?」
「いや、何て言うか・・・可愛いよその姿!!ずっとそれで居れば良いと思う」
バタバタと若干抵抗しつつ、それでもあんまり手荒な手には出てこない所が侑魔君らしい。
この状況下でも私に気を遣っているのか。
だがそれが命取りなのだよ少年!!!
「あのな・・・・・・。男が可愛いとか言われても嬉しくねえよっ」
「いや、涙目で怒られてもあんまり説得力ないし・・・」
寧ろ若干お姉さん恋シュミ家の血が騒いじゃいますよ?
あー私もお兄ちゃんの事どうこう言えないわ。
「お前さんが力任せに耳引っ張るからだろうが!」
まあ、痛覚あるなら痛くて当たり前だよね。
そろそろ侑魔君が本気で痛がってるし・・・この辺りで止めておいてあげよう。
耳の根元をそっと撫でて、名残惜しく思いながらも手を離す。
「えへへ〜ごめんってば。可愛くてつい」
そう言った瞬間、侑魔君がピクッと一瞬反応したのは気のせいだろうか。
・・・否、多分気のせいじゃない。
「・・・へぇ?」
現に、現在進行系で声が低くなっている気がする。
(あ、やばい。何か目がマジに・・・)
嫌な予感。
そう思った瞬間、顔の横に手が置かれて、侑魔君の腕に閉じ込められたような状態になる。
しまった、黒い物が降りてきてる。
「そういう事言うのはどの口だ?あぁ?」
犬歯剥き出しにして笑うと物凄く悪い人に見えるなこの人!!
っていうか密かにピンチなんですけど私!!
「ちょ、侑魔君柄悪くなってない!?何か変なスイッチ押しましたか私!」
「あー、押したかも知れねえな?・・・寧ろ、この至近距離で俺にちょっかいかける方が悪いだろ、この場合」
「どんな擦り付けですか!?っていうかこの前からちょいちょい黒い物が出て来てるよ侑魔君!!」
「ククク、散々人に可愛い連呼しやがって。アンタの方が可愛いって、思い知らせてやるよ…」
「ひゃわっ!?ちょ、ごめんなさいって侑魔君!!黒降臨やめて――っ!」
バタバタ暴れてはみるものの、まあ当然何の解決になる訳もなく。
正直無駄に体力を浪費しただけというオチ。
「ははは、何の事だろうなぁ?俺には解らん」
「嘘つきぃい!!」
満面の笑みで爽やかに言い切った侑魔君に、私の若干悲痛な声が室内に響く事になった。
―あとがき
BGM@愛をこめて花束を
取り敢えずいちゃつかせた結果。嵐の前のいちゃいちゃ。
ちょいちょいオレンジ色のあの人がちらつくのはアレです。
日奈月が壊れているからです。
エリオットの執事が見れると思ってたのにロゼ様の馬鹿ぁぁぁあああ!!
エリオットの執事執事執事執事――!!
ってかいってぇ先刻舌噛んだし!!あぁあああぁエリオットに会いてぇえええ!!