『おはようー』
教室に入り、溜息を吐きそうになりながらも軽く挨拶を済ませる。
・・・全然眠れなかった・・・。
寝たら寝たで侑魔君に言われた台詞と同じシチュエーションを延々リピートするし・・・もう夢も見ないくらいどっぷり寝たい・・・。
ふと視線を騒がしい方に向けると、魅艶君が鞄を片し終えた所だった。
いつもならこの時間はまだ魅艶君居ないのに・・・珍しい。
「・・・あれ?魅艶君、今日は早いね」
「・・・それ言われたの今日で三回目なんだけど・・・何?僕っていつもそんなに遅い!?」
『遅いだろ』
全員の声が揃った。
一応私と、まだ登校していないお兄ちゃん以外のバカレンの皆の声が綺麗にぴったり揃ってたと思う。
その図に思わず力いっぱい噴出してしまった。
「お前らぁ―――!!」
「間違った事は言ってないと思うなぁ?」
「酷い時なんか遅刻スレスレだもんな?」
「そりゃ珍しいの一言位言いたくなるよね?」
まず湊君が笑顔でサラッと素敵な事を言い、それに続いてクロスワードを解きながら侑魔君が、そして最後に爾君が爆笑しながら告げた。
・・・何か、バカレンって本当こういう時だけチームワーク良いな。
特に侑魔君は魅艶君をからかう時は活き活きしている気がする。
歪んだ愛情表現だな・・・。
「お前ら表出ろ」
声低いよ魅艶君!!!
「「えぇー?やだ面倒臭ーい」」
この人達相変わらず凄いな。
そして此処は息が合うんだね。
「っていうか、魅艶が早く来たのはモンハ○部の活動の為だしね?」
「誘ったのあんたじゃんかぁぁ!!」
「え別に僕悪いなんて一言も言ってないんですけどぅー」
「どうでも良いけど早くしないと狩りいけなくなるんじゃない?」
今度は翔魔君まで茶々を入れだして、本格的に大騒動になりつつある。
手に持っているのは・・・P2P?
そして向かいに座っている時雨君も、手にP2Pを構えて魅艶君の方に視線を向けている。
モンハ○部って何かと思ったら・・・最近人気のモンスターハンティングバイアラスアドベンチャーオールヴォワールジェントルメ(以下略)の事ね。
まあこの人達が持ってない訳ないとは思ってたけど、まさか部活まで作ってるとは・・・。
「・・・・・・」
そんなやり取りをしている横で、侑魔君が無言のまま席を立ち、教室の外へ出て行った。
それに気を取られていると、閉まったドアとは反対の教室のドアが開いて、眠たそうな顔をしているお兄ちゃんが入れ替わりで入ってきた。
「おはよう、お兄ちゃん」
「改めておはよう、白亜」
朝も言ったけどね、と苦笑しつつ、視線を閉じた扉に向ける。
・・・侑魔君、今日もやっぱり雰囲気が可笑しかった。
「・・・・・・、何かあったね?」
「え?」
ポツリと言われた優君の台詞が聞き取れなくて、聞き返す。
けれど優君はへらっと笑って「何でもないよ〜」というだけだった。
「・・・?」
そして、結局侑魔君はHRギリギリまで教室に戻ってこなかった。
お陰でロクに話が出来ず・・・、そんな状態が、何日が続く事になった。
―あとがき
BGM@チャットモンチーの真夜中遊園地
久々にバカレンの色んな人出したなー。
もうそろそろ侑魔君も終わりだねえー。
この後、こっちのルートではいっきに8章へ。
っていうかエリオットエリオットエリオットが執事コス―――!!
早く届け俺の想・・・じゃなかった副読本――――――!!!!!!!