「おー居た居た。やっふー」
隣で手をあげて声をあげて遠くに居る爾君にサインを送るお兄ちゃんと、遠くの方でこっちを見ながらその手を振り返してくれている爾君。
私達は遠くの方でひらひらと振られた手を目印にするように歩いて、その場にたどり着いた。
「こんにちわ〜」
「やっほー二人共。お、白亜ちゃんのスカート可愛いね」
朗らかに挨拶をしてくれてから、ふと気がついたようにスカートに視線を向けた爾君からの第一声に、私はかなり驚いた。
っていうか一瞬言われた事が解らなくて口をパクつかせてしまった・・・。
アレ?私(っていうか私のスカートは)今一瞬褒められた・・・よね?
あまりにもナチュラルすぎて吃驚したというか・・・正直服を褒められるという事に免疫がないのでどうしたら良いのかワカリマセン。
「あ、有難う・・・。コレ、この間買ったばかりなんだ」
取り敢えずカタカタと機械のように対応して返す。
・・・もうちっとマシな反応出来んのかい、ってのは今私が一番思ってる台詞なんですけどもね。はい。
「やっぱそういう系似合うんだね、白亜ちゃん。凄く可愛いよ」
「うん。スカートは可愛いでしょ」
「何言ってんの。白亜ちゃんも可愛いよ」
んぎゃあああ微笑みながら何て事言うんですかこの人は!!
何、この人天然タラシなの!?
普通に女の子落ちるって!!
頭から煙が出る勢いで激しく狼狽しております。
「とととと、取り敢えず、目的地行こうよ!ね!」
たった二言褒められただけで赤くなってしまう爾君の威力、恐るべし。
「ちょ、大丈夫か白亜、顔が真っ赤だぞ」
「しょ、しょうがないじゃん!こういうので男の子から褒められた経験ないんだから」
「皐月君はそういう事言わないの?」
「あんまり言ってないねえ」
のんびりと言うなよ。
少しは罪悪感とかさあ。
・・・まあ、長年の付き合いだから好い加減どういう人か解っては居るけどね、フフフ。
「駄目だよお兄ちゃん。そういうのに気を配れるようにならないと大事な妹は直ぐ他の人に・・・」
「俺はシスコンじゃないからな!?何かこの間から変な設定付けられてるけど!」
そもそも私達本物の兄妹じゃあないんですけど。
どうでもいいけどこうやって言うと何かドラマで明かされた衝撃的な事実みたいになるなあ・・・。
いや、そんな緊迫感溢れる状況じゃないけど。
「でも兄妹カプは好きなんでしょ?」
「好きだとも!!」
駅のど真ん中で力説しおった。
今通り過ぎて行ったサラリーマンが若干不思議な物を見る目で見て行ったよお兄ちゃん。
「・・・・・・・・・・・・・。」
自分の従兄弟に不安を覚えた瞬間だった。
☆☆☆
「あそこ?パフェの店って」
そこに立つ華やかな建物を見て、爾君に問いかける。
私に視線を返しながら、爾君は軽くニコッと笑った。
「そうそう。『天使☆モード』だよ」
何かどっかのゲームに出てくるアレを和訳したみたいな名前だな・・・。
そんな事を軽く思いはしたものの、突っ込まずに軽く店内を眺める。
今はその店の反対の歩道で横断できる場所を探しているところだけど・・・車途切れねー。
仕方が無いからうだうだーと先刻から喋りつつ歩いている所だけど。
「此処って制服も中々にして可愛いんだよなー・・・」
お兄ちゃんに言われて視線を店の方に向けて、思わず黙り込む。
露出多すぎ。
っていうか男性客の目が嫌。
何つーか・・・喫茶店とかって言うよりはどっちかっていうと水商売に近い気がする。
「何か・・・見てると可愛いっていうかエr「男の浪漫だよ白亜」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
男って一体・・・。
「皐月、そろそろ白亜ちゃんの目が冷たくなって来てるよ?」
「えええ!?っていうか俺がそういう系のゲームやってるの知ってるだろ!?今更じゃね?」
「いや、往来できっぱり言われるのと家でのテンションで言われるのとはまた違うでしょ・・・、あ」
言いかけて、ふと視線を真正面に戻して声を上げた。
「ん?どうしたの?」
「あそこの服屋さんにあるワンピース可愛い!」
爾君も足を止めて私の視線を辿り、数秒の間を置いてから納得したように「あー」と声を上げた。
私達の視線は、服屋さんのショーウィンドウに飾られている服に集中している。
「本当だ!見に行く?あとアレにブーツと、可愛い系の上着合わせたら白亜ちゃんに合うと思うよ」
「本当!?っていうか爾君センス良さそうだし、後で見立ててくれない?」
「いいよー。僕のセンスで良ければ」
「有難う〜!!」
ニコニコと笑いながら頷いてくれた爾君に内心で有頂天になりつつ、バッという音を立てんばかりの勢いでお兄ちゃんを振り返る。
因みにお兄ちゃんは何か興味深そうな目で私達をガン見していたようだけど、気にしない。
「って訳でお兄ちゃん、先にあっち見て良い?」
前方にある服屋を指差して言うと、お兄ちゃんは数秒たりとも迷うことなく「うん」と頷いた。
それから僅かに苦笑を浮かべつつ。
「良いよー?・・・何かそうしてると君らマジで普通に女の子同士だね。会話が」
「僕は男だよ!?」
お兄ちゃんの一言に爾君が物凄い勢いで反論したけど・・・正直私も何となくそう思う。
いや偏見+お兄ちゃんの所為かも知れないけど、ぶっちゃけ男の人の服装センスと爾君のセンスは若干違うような気が・・・。
というか、どっちの服装についても詳しそう?みたいな。
「でも爾君はどっちって言っても通用するね多分」
「っていうか、女の子って言っても通用するって言った方が正しい」
「寧ろある種・・・私より女の子らしそう・・・」
「何でこんなトコで意気投合するかな・・・」
うだうだと会話をする私とお兄ちゃんを、爾君は非常に複雑そうな表情で眺めていた。
因みにその後は服屋さんで二、三着買って、パフェを食べました。
―あとがき
BGM@来て来てあたしンち
要するに何が言いたいかっていうと、プレちゃんは女の子らしいよねって話。
でかいスランプが来た。