さあて、お昼の時間。
食事のメンバーはいつもの八人です。
「んじゃあ、せーの」
毎度恒例らしいバカレンのこの儀式(?)にも、いい加減なれた。
皆と同じように、手を構え、あわせる。
『いただきます』
言って、皆で食べ始めた。
(平和だなー・・・)
昨日聞いた仏滅云々の話じゃあ、多分皆大変になるって感じなのに、そんなのが微塵も感じられない。
・・・私の知らないところで動いていることも多いんだろうな、と思う。
・・・皆、日常的なことを楽しむ余裕ってあるのかな・・・。
「そういえば皆、部活とか入ってるの?」
疑問が浮上したので、遠回しで無難な質問に変換して問いかける。
皆の視線が、私に集中した。
「行き成りどうした?」
お兄ちゃんが疑問符を浮かべて問いかけてくる。
ってか私、お兄ちゃんの入ってる部活すら知らないんだよねーそういえば。
具体的に何部に入ってるのか、なんて聞いた事ないし。
「いや、気になったから」
そう答えると、お兄ちゃんも納得したのか「そっか」と返して来た。
っていうかだから口の中の物を処理してから喋りなさいっつーに。
アル○レッドかアンタは!!
「んーと・・・僕と湊と侑魔と皐月と魅艶は文芸部だよ」
名前の通り順番に箸でその人物を指しながら、翔魔君が教えてくれた。
文芸部・・・何か、頭良さそう・・・。
取り敢えず小説とか物語り関係の事をやってるのは解った。
そういえば侑魔君いつも小説読んでるしね。
本好きなんだろうな。
他の四人も、確かに本好きそうなイメージはある。
「一応部長です」
「僕副部長です!!」
「ぶっちゃけ僕より副部長の方が頼りになるよ」
「本当だよねえ」
「・・・・・・・」
「湊・・・自分で言っておいて不機嫌オーラ出すなよ・・・」
部長と名乗った湊君と副部長と名乗った翔魔君の応酬に、侑魔君が最後に小さなツッコミを入れる。
っていうか翔魔君・・・そんな真っ向から肯定してみせなくても・・・。
「でもって、俺はアニメーション部と兼部だ」
お兄ちゃんらしい部活だと思った私って超失礼☆
でも・・・あくまで内心だから良いよね。まだ。
「そういえば最近そっち顔出してないみたいだけど、良いのか?」
「え?ああー・・・一応文芸部終わってから、気が向いたら顔出してるよ」
翔魔君とお兄ちゃんの遣り取りを聞きながら、お弁当の一部を口に放り込む。
今日のお弁当は私が自分で作ったんだけど・・・・・・もう少し精進が必要かも知れない。
「演劇部と文芸部の兼部でーす!」
元気にかったるそうに宣言したのは、魅艶君。
その横で、お兄ちゃんの弁当箱におかずを入れていた侑魔君も視線を上げた。
「同じく。ただし、俺は演劇部メインで、あっちは文芸部メインな」
「あははは」
「しかも検定とか間近になると来なくなる上、普段からバイトで出席率あまりもよろしくない」
「はっはっは」
横目で魅艶君を見ながら言う淡々と言う侑魔君に、本人はただ豪快に笑うばかり。
その様子を見て、更に侑魔君は溜息を吐く訳だけど・・・。
・・・侑魔君、溜息吐くの癖になってるのかな・・・。
「・・・この間部長がヒステリー起こしてたぞ。あと、伝言。『今日舞台使って練習だけど、台詞、覚えてるよね?勿論』」
「やっべ!!!全然覚えてない!!!」
「・・・部長に殺されるな。Good-bye」
「いやあああ、さよならしないでえええ!!」
「んじゃ何、Goodnightの方が良い?」
「永眠決定!?いやあ、侑魔君、台詞覚え手伝ってええええ!!」
「別に良いケド」
魅艶君の台詞に対して、素っ気無く言って返す侑魔君。
・・・ツンデレだなぁー・・・。
そして魅艶君にはツン全開なんだなー。
そして優君に対してはデレなんだなー・・・と内心で考察する。
「で、僕と時雨はワープロ部です」
「ワープロ部?」
優君が言った聞きなれない部活名に、首を傾げる。
ワープロ・・・あるの?此処の学校。
今はパソコンの授業しかないから、全然想像つかなかった・・・。
「yes!南の島からやってきたNiceなガイの集うイカす部活だぜワオ☆」
「・・・南の島」
なぜ南の島。
っていうか、その割りに二人共焼けてないよね。
「普通の部活だよ。ひたすらパソコンカチカチ打ったり、検定や大会に向けて練習したり」
「・・・」
大会とかあるんだ・・・。
・・・というか、私は別の所の方が気になってるんだけど・・・。
本人達相手にそれを聞いてもいいものか迷う。
「ちゃんと僕ら以外の部員も居るよ」
「あ、そ、そう・・・?」
どうやらモロに顔に出ていたらしい。
質問する前に優君が答えてくれました。
「・・・で、爾君は?」
最後に、何も言わなかった爾君に水を向ける。
「どうせ帰宅部だよ畜生!何か文句あるのかよ!」
「な、ないよ別に!!」
何で怒られてるんだろう、私。
「こら駄目でしょみっちゃん、逆切れしちゃー」
「みっちゃんじゃねええ!」
・・・、前々から気になってたけど、爾君はみっちゃんと呼ばれることに何かトラウマでもあるんだろうか・・・。
「そうだよ、その代わり生徒会はいってるんだから」
「良いんだよ湊君、無理にフォローなんかしてくれなくても」
「無理にだなんてそんな〜」
「「棒読みだぞ湊」」
「え〜そんな事ないよ〜」
湊君と爾君の遣り取りに対して、ツッコミは入れたのは侑魔君と翔魔君。
・・・確かに棒読みだったけどね。
(・・・平和だなー・・・)
そう実感せざるを得ない。
何せ、日常と非日常の境目が解る程に、私はもう非日常の中に軽く片足突っ込んでる訳だから。