※長いのでちょっとカットしました。
途切れ途切れの言葉と共に、他のゾンビも此方に近寄ってくる。
最早妖怪とも呼べない。
(言ってる意味が解らない・・・っ)
がちがちと歯が音を立てて震え、全身の血の気が引いた。
殺される。
そう思ったら、冷静じゃいられなくなった。
「助けて!!!誰か!!!!!!!!!!」
死に物狂いで、周囲に叫ぶ。
誰でもいいから、助けて。
脳内に浮かぶバカレンの皆に向かって、助けを求める。
次の瞬間――・・・
「困るんだけどね。この子に手を出されちゃうと」
そんな声と共に、妖怪の体が大きく仰け反った。
「!?」
何事かと思って凝視(というか、あまりの事態に対応できず、ポカンと見つめてただけとも言う)していると、妖怪の首に何か細いケーブルのようなものが引っ掛かってることに気付いた。
そしてそのケーブルの先には・・・黒く艶やかな髪を持った・・・クラスメートが居た。
この条件で一目瞭然だと思うけど・・・勿論、黒密 魅艶君だ。
そして、ケーブルの正体はどうやら、ブルステ2のコントローラーだったらしい。
・・・どうでも良いけど、そんな使い方してると壊れるよ?
ってか何故コントローラーで絞殺・・・。
「・・・全く、折角人が家で楽しく零〜黒い蛹〜やってたっつーのに。・・・大丈夫?」
「う、うん・・・」
小さく溜息を吐きながら、心なしか機嫌悪そうに呟いた魅艶君に差し出された手を、軽く握る。
すると、その華奢な体の何処にそんな力があるのかと問いたくなる力でグッと引っ張られ、立ち上がることが出来た。
「一般人に手を出して食われるのも勘弁だけど・・・君に傷付けられるのも困るんだよね」
「・・・え?」
小さく、それで居ていつになく真面目に言われた言葉の意味が解らなくて、思わず聞き返してしまう。
・・・っていうか魅艶君・・・やっぱり何か機嫌悪い?
「一応君も既にバカレンの一員な訳だし?それだけならまだしも君は女の子だしねぇ?」
「・・・」
扱いはちゃんと丁重にして欲しいよね、と妖怪の方に視線を向ける魅艶君は・・・いつになく目が怖かった。
「さて。・・・このお返しは・・・重いよ?四神の一匹の・・・欠片かな?腐ってるみたいだけど」
そう言って笑う魅艶君の表情は、いつもの「うぇっへーい!!」とか言ってる時の緩いものじゃなくて、刃物のような鋭さを備えていた。
ちょっとだけ増した威圧感が、怖い。
「四神?」
硬い声で呟いた私に、魅艶君はチラリと視線を向けて、また妖怪に目を向ける。
えーと・・・真顔が怖いんですけど。
「本当は強い神様なんだけどね・・・。欠片だし。コレなら、軽いかな。何で千切れたかは知らないけど、ラッキー」
そう言うが早いか、私の腕を掴んで隣に引き寄せた魅艶君は、指で空に∞の字を書くように、動かした。
「!?」
その刹那、私達を中心として、周囲に黒い靄が発生し、あっという間に私達を包み込む。
明らかに濃密なその黒い靄を吸い込まないように反射的に息を止めた私の頭を、魅艶君が軽く宥めるように叩いた。
「大丈夫。僕らは息できるようになってるから」
言われてチラリと見上げると、そこにはいつものように緩い笑みを浮かべる魅艶君。
「あ、本当だ・・・」
数秒の躊躇いの後に恐る恐ると息を吸い込むものの、確かに・・・別にいつもと変わらず息は出来る。
・・・こうなってくると普段私達が見ている色のイメージって大事だな・・・とか思ったり思わなかったり。
『グルルル・・・、・・・魔、の・・・力・・・集・・・』
うわごとのような唸り声と共に、妖怪達が此方の方に歩いて寄って来る。
この黒い靄がどんな効果を果たしているのか解らないけど、ただの一般人でしかない私は当然、その恐怖に押しつぶされそうになってる訳で。
「っ・・・」
「・・・大丈夫だよ」
思わずしがみついて身を硬くする私に、魅艶君がいつになくはっきりと言い切った。
それだけで、何故か・・・恐怖も幾分か和らぐから不思議だ。
そうしている間に、残った妖怪二匹の内の一匹が、此方の黒い靄の中に腕を突っ込んできた。
しかし、
『!?ギャアアアアア!!』
「腕が・・・!?」
凄まじい悲鳴と共に、突っ込まれてきた妖怪の腕が靄に切断され、吸収された。
そして私は間近で見てしまった訳だが・・・ぐろい。
しかも腕を切断しただけでは済まず、黒い靄はそのまま妖怪にまとわりついて、そのまま妖怪と共に消えてしまった。
至極あっさりと、一つの存在を魅艶君は消滅させて見せた。
「よいしょっと、軽い軽い」
緩めの口調で言って、魅艶君はもう一度空に∞の字を書く。
次の瞬間、私達を包んでいた黒い靄は弾けて、視界が一気にクリアになり、逃げ出そうとしている妖怪までもはっきりと見えた。
残った一匹はどうやら逃げるという選択肢を選ぶだけの理性が残っていたらしい。
あるいは恐怖かも知れないけど。
それを目で捉えた魅艶君は私の前に立って、片掌を開き、前に突き出した。
今度はそこから、一気に黒い靄が噴出す。
噴出した黒い靄は逃げ出そうとした妖怪にあっという間に追いつき、大きな掌の形となってそれを捉えた。
「・・・じゃあ、あの世からもう一回やり直しておいで。次は暴走しないように」
慌てふためき、足をばたつかせて見苦しく逃げようとする様は、僅かに同情を誘う。
それでも魅艶君は顔色一つ変える事なく、突き出した掌をグッと握りこんだ。
次の瞬間。
『ギャ・・・!?』
妖怪を包んでいた靄が一気圧縮され、先刻と同じように妖怪ごと消え失せた。
妖怪が居なくなった事で突然静かになったその空間で、私は思わずへたりと座り込んでしまった。
・・・、腰が抜けたっぽい。
「・・・、凄い・・・」
茫然と呟きながら、魅艶君の背中を見つめる。
いつになく逞しいその背中は・・・紛れも無く―――・・・。
「・・・大丈夫?」
ぼんやりとしていた私は、魅艶君のその一言ではたと我に返った。
それから、慌てて頷く。
「う、うん・・・」
「?どうかした?」
コクコクと頷いた私の様子を訝しげに見つめながら、魅艶君が覗き込んでくる。
その顔をまじまじと見つめ返してから、私はゆるゆると口を開いた。
「・・・本当に魅艶君?」
「・・・・・・・・・・・・・はい?」
何かもう、つるっと本音を出してしまった。
っていうか、その位・・・いつもと雰囲気がかけ離れていたというか。
真面目で優しい魅艶君って、魅艶君らしくないというか。
「・・・何か、全然お母さんっぽくない・・・」
「おーい?君、僕の事何だと思ってるのかな?」
取り敢えず言うと怒られると解っているので黙り込んでは居るものの、私の沈黙で何かを悟ったのか、魅艶君は一瞬顔を顰めてから、直ぐに溜息を吐いた。
「ふう・・・、世話が焼けるねえ・・・」
「へ?!わ、魅艶君、行き成り何を・・・!?」
呆れたようにそう言うなり、私の前にしゃがみ込んで背中と膝の裏に手を回され、抱き上げられた。
そんな状況になるなんて思ってなかった上に、驚いた私は反射的に魅艶君の服を掴んで、落ちないようにしがみ付く。
「立てないなら抱えてあげるし、怖いなら送ってあげるよ。暴れたら落っことすけど」
「!」
腰が抜けたの・・・バレていたらしい。
正直言って、この横抱き姿勢はかなり恥ずかしいものがあるし、自分で歩いて帰れるもんなら歩いて帰りたい。
だけど、此処で駄々をこねたり無理に意地を張ったりすると、確実に魅艶君は落とすし、全力で置いていきそうな気がする。
だって普段の言動がさ・・・。
とにかく、こんな状況で置いていったり一人にされるのはごめんだし・・・そうなると結論は決まってくる。
・・・背に腹は変えられない。
「・・・よしよし。人間素直が一番だからね〜」
大人しくなった私を満足げに見つめて笑い、人気のない道を、私を抱えたままで魅艶君は歩き出した。
顔が僅かに熱い。
どうしよう。
少し前までなら多分、魅艶君に抱きかかえられても意識する事なんてなかった筈なのに。
赤くなったとしても、その恥ずかしさは「この年齢になって抱っこなんて」とかそういう程度のものだったのに。
今は・・・、違う。
(・・・お母さんじゃなくて・・・一瞬“男の人”に見えた、なんて・・・)
しまった。
異性としてしか見れなくなってないか?私
BGM@My' sweet heart←東京ミュウミュウ
取り敢えず何かあまりにも魅艶君がおかんなので、頑張ってオカン脱出を図ってみたが・・・笑いすぎて既にエネルギー切れで碌な展開にならなかった・・・。
日本語も若干可笑しい。
ってかやばいね。wiiでトワプリやってたけど、ストーリー知っててももう一回ハマるね。GCと同じだと侮っていたらかなり変なトコでばっか躓いてんなぁぁあああ!?ってなった。
そして、侑魔君ルートだと四神目覚めてない事になってるとげ、アレだよ。こっちだと一体は少なくとも目覚めてるみたいな感じで。あと優君ルートでもそうでした。
決して「あ、やべ・・・そういえば侑魔君ルートの前に四神らしきもの一回出てきてなかったっけ!?」とか思って慌てて付け足した訳じゃないからね!?
あとがき長ぇええ!ってか何か俺のテンション可笑しくないか!?若干ラリッてないか!?寧ろ酔ってる!?え、俺酒飲んでないのに!?why!?蘭たんのテンションが伝染してるような気がする!!
※コレ書いたのは多分一ヶ月位前です。
↓が今書いたあとがき
何か暫く書かないと本当に設定忘れる俺のひよこ頭・・・。
取り敢えず、ここら辺でお母さん脱出しとかないとタイミングがわからなくなるしねえ?
魅艶君の通常の喋り方イメージ→緩く喋るよね。って感じに。