『きぃぃいいいいいい!!!!』
『!?』
不意に聞こえた台詞に、体育館に居た私達の行動は停止した。
体育館の隅っこに目をやると、今までコートを半分使って高飛びをやっていた二年生の何人かが、妖怪になっていた。
うわ、何か前回とは違うグロさがある・・・。
思わず後ずさる。
「・・・優君!!!」
「はぁい」
侑魔君が声を掛けると、優君が軽く腕を振る。
次の瞬間、桃色の膜のような物が体育館内に溢れ、体育館を包む。
・・・・・・ヾ(´∀`)>長さの関係で中略{詳しくは他のルートでネッ☆
「きしゃああああ!!肉ゥウウウウ―――!!!」
「きゃあ!?」
だと思ったのに。
何で発見しちゃうんですか。
そんなに私の事好きですか。
でも私は相手にするなら
人間が良いので、出来れば他を当たって下さい。
内心でパニックになりすぎて逆に冷静な思考を繰り広げながら、呟く。
此方めがけて襲い掛かってくる妖怪の図に、転校初日の様子がフラッシュバックして、恐怖に体が固まる。
・・・やばい。
そう思った瞬間、
「ヘェエエイヘイヘイヘェエエイヘェエエエエイ!!!」
「!!!???」
「―――!?」
奇妙な声と共に突撃してきた魅艶君によって妖怪消滅。
ついでに私の心臓も限界間近。
寿命が三年分位減った。
「大丈〜夫?白亜ちゃん」
へたりこんだままで茫然としている私に気付いたのか、魅艶君が首を傾げた。
正直、妖怪に襲われかけてギリギリまで張り詰められた糸を魅艶君がぶった切ったのが原因だったりするんだけど・・・。
助けてもらった手前それを言うのも常識がなさすぎるし。
「え、いや大丈夫だけ、ど・・・」
取り敢えず何でもないということにしておいて欲しい。
大丈夫、私ハ平気ダヨ。
「そう言ってる割にむちゃくちゃ顔色悪いんですけど」
「それは、掛け声に吃驚しただけなんだけど・・・」
「ん?」
「いや何でもない・・・、それより魅艶君戦わなくて良いの?」
思わず出かけた本音をそっと口の中に押し戻し、頑張って今出来る最高の笑顔を浮かべてみせる。
・・・時々、何でこんなに頑張ってるんだろう、と思わなくもないけど。
「はっはー。他の皆が戦ってくれてるのに僕が動く理由が何処にある!!」
ちょっ。
そんな胸張って言う事じゃないよねそれ!?
寧ろ強いのに他力本願なの!?
「良いの、それで!?」
「良いんじゃないかなーと。・・・さて、白亜ちゃん立てる?」
私の渾身の突っ込みすらも華麗にスルーして、魅艶君は私の顔を覗きこんできた。
ち、近っ!!
ちょっと思わぬ接近に驚いた乙女心!!
「う、うん・・・・・・あれ?」
何はともあれ慌てて腕に力を込めていざ立とうとしても、力が入らない。
というか、立てない。
「完全に腰抜けちゃった系だね・・・」
案の定魅艶君にも速攻で見抜かれたし。
まあこの様子で見抜かない方が若干可笑しい気がするけど。
「だ、大丈夫・・・」
それでも慌てて手を横に振って、大丈夫と自己主張してみるものの、駄目っぽい。
「大丈夫じゃないでしょ〜。ん〜・・・この状況で外に運び出しても新しい妖怪に出くわす可能性があるしね・・・」
「・・・」
暫く何事かを考えた後で、魅艶君は「よし」と呟き、私の前に立った。
「ちょっと危ないかも知れないけど。僕の後ろに居て。微動だにしちゃ駄目だからね?」
「え゛?あ、はい・・・」
「よし。じゃあ、取り敢えず後で保健室に運ぶか何かするから、ちょっと待っててね〜っと」
「う、うん・・・有難う」
「あいよ〜ん。どういたしまして〜」
背中越しにヒラヒラと手を振りながら、妖怪が来ないか、周囲に目を配っている。
今の所は他のバカレンの皆に足止めされてるのか討伐されてるのか(こっちの方が近そうだ)、あちこちで轟音がしたり火が吹き上がったりしているものの、此方に被害は来ていない。
私は取り敢えず、黙って魅艶君に守られることにした。
―あとがき
BGM@ン・パカマーチ(笑転
何か・・・まともに登場したの今んとこ優君位な気がする・・・。
そしてBGMの所為で何かいまいち集中できなかった件についてwww
魅艶君はきっと、何処までもおかん。