(・・・ポルターガイスト?)
ポルターガイストって幽霊の悪戯なんだっけ?
・・・って待って、何サラッと怖い想像してんの私。
妖怪の次は幽霊って・・・勘弁して欲しいんだけど・・・。
・・・此処でも幽霊は出るのかな・・・妖怪オンリーじゃなくて。
ってか待って、何かこっちに向かって歩いてきてる感じの音がするんだけど。
あれ?幽霊って足あるんだっけ?(※混乱中)
・・・此処に居ると何か危険な予感がするので、私はとっとと帰る事にした。
思い立ったら即行動、という事で私は鞄を引っ掴み、ドアを思いっきり横に引いた。
・・・普通に考えたらこの時点で何で外に逃げようとしたのか・・・という感じだけど、冷静な判断力が無かったんですって事にしておいて・・・。
・・・ホラー映画の主人公が何であんなはちゃめちゃな行動取るのかがよく解った瞬間でした(後日談)
そして、引かれたドアの向こうには―――・・・二つの人影。
「うわあ!?」
「ワーオッ!!!!」
「うぉおおおおおっほほほほほぉ!?」
・・・二番目の悲鳴で今目の前に居るのか、視覚に頼らなくてもわかりました。
私の悲鳴に驚いたらしく素晴らしい悲鳴を上げた二人をまじまじと見る。
「・・・・吃驚した・・・魅艶君達か・・・」
そう言って溜息を吐くと、二人も同じように脱力した。
「吃驚したのはこっちだよ・・・っていうか、青埜さんの悲鳴と君の悲鳴に吃驚した・・・」
ああ、それであんな面白い悲鳴上げてたんだ・・・。
時雨君も時雨君だけど、魅艶君もどっこいどっこいだと私は思うよ。
「ええと・・・、二人共どうしたの?」
気を取り直して、二人に聞くと、魅艶君が一度チラリと時雨君に視線を向けて、盛大な溜息を吐いた。
「聞いてよ、この人さあ・・・鞄置いて帰ろうとしたんだよ?!」
「うるせぇいっ」
何で鞄を置いて帰ろうとするかな・・・。
寧ろ体軽いので気付くでしょ・・・。
「何で忘れるかな・・・それを」
「青埜さんだから」
「お前の一言で片付けるなよ」
「青埜さんだから」
「ユアノットフレンド」
「友達の輪から外されちゃった」
この二人に限らないけど・・・何でバカレンの皆って二人揃うと漫才が始まる人が多いんだろう・・・。
聞いてて面白過ぎるよ。
「・・・」
「ああ、視線が冷たいよ・・・青埜さんの所為で」
「お前責任転嫁にも程があるだろ!」
まあ責任の一端はあるけどね。
寧ろ二人のどちらにも責任はあると思える。
「・・・あー・・・私、帰るね」
何か、警戒してた自分が馬鹿らしくなって、何となく乾いた笑みを浮かべてそう告げる。
「ん?あ、ねえ白亜ちゃん、今日一人で帰るの?」
「え?うん」
不意に問いかけられた言葉に、ほぼ反射的に頷いて返すと、魅艶君は何事かを考えるように視線を空へ向けた後、此方に戻した。
ヘラッと笑いながら。
「それじゃあ、一緒にお茶して帰らない?送っていくよ」
「え、悪いよ」
申し出は物凄くありがたいけど・・・この二人の家が遠回りになりそうだし。
「良いの良いの。あんな事あった後だし、不安だろうし」
魅艶君が何気なく言ってくれた言葉に、じわっと心が暖かくなる。
・・・心配してくれたのかな、一応。
・・・多分、この様子だとそうなんだと思う。
「・・・有難う」
照れ臭くなったものの、微笑みながら礼を言うと、二人も心なしかホッとしたように視線を合わせた。
「いい?時雨」
「別に平気だけど」
「じゃあ決まり。さっさと鞄とって行きますか」
「ソウダネ」
何で息吸いながら喋るとか器用なことしてんの、時雨君。
何か・・・この二人見てると心配事とか見事に飛んでいくんだなー・・・と思った今日この頃。
因みにこの二人は終始このテンションを貫いていました。