放課後の教室で、私は一人ポツンと椅子に座って居た。
 
・・・昼間説明された言葉が、耳に残っている。
 
(此処は、限りなく゛アノ世゛に近い場所)
 
天国とか地獄とか、そういう場所に近い場所。
 
(此処の町の人は、皆死んでて、半妖・・・)
 
皆、ちゃんと人間として生きてるように見えるのに。
 
自分と違う生き物が近くにこんなに沢山居る、という状況に・・・こんなに恐怖を感じるなんて思わなかった。
 
(・・・行き成り詰め込んでも、頭が納得してくれない・・・)
 
頭を抱えて、溜息を吐く。
 
・・・知識はキチンと頭の中に叩き込んだ。
 
それでも、心が納得をしていない。
 
完全に消化不良を起こしてる感じ。
 
(しかも・・・狙われやすい体質なんて・・・)
 
・・・まさか、転校二日目でこんな思いをする羽目になるなんて。
 
脳裏に浮かぶのは、暴走した妖怪の姿。
 
本当に、死ぬかと思った。
 
平凡で、身体能力も人並みの自分が・・・あんな妖怪に狙われやすい体質なんて・・・。
 
(あれと同じ思いを、何回もしなくちゃならないの?)
 
そんな事をしていたら、いつか死ぬかも知れない・・・。
 
そう考えて、背筋が凍りついた。
 
(守ってくれるって言ったけど・・・)
 
バカレンの皆がいつも側にいてくれるとは限らない。
 
というか、一緒に居ない事の方が多いんじゃないのか、とすら思う。
 
何かあったら直ぐに感知できる、みたいな事を言っていたけど・・・。
 
ガタンッ
 
「っ!?」
 
完全にネガティブな思考に走っていた私は、些細な物音に反応して、其方に目を向けた。
 
・・・何?
 
 
 
 
 
▽【…誰かいる?】
▽【・・・風かな?】